鍼灸治療のベースにあるのは東洋医学の考え方です。東洋医学では、体全体の気 ・血液・水分の状態を大事に考えています。体につらい症状が出るときは、気血水のめぐりがとどこおったり、過不足が起きたり、バランスがくずれたり、 ということが起きているのです。 その結果として各所につらい症状があらわれるのです。ですから鍼灸治療では、そういった体全体の気血水の調整をしながら、それぞれの症状に対応していき ます。そのため症状のある部分だけに対しての治療では効果の出ないような場合も、全体治療の中で治療をすることで格段に効果が出やすいのです。
また、東洋医学には「未病」という言葉があります。「未病」というのは「病気ではないが、健康でもない状態」を指します。この「未病を治す」のが、名医とされています。西洋医学が苦手としている「未病」へのアプローチが、東洋医学がとても大切にするところであり、とりわけ得意とするところなのです。ですから、鍼灸治療はどこかにはっきりと出る症状の改善のみならず、病気予防(免疫力アップ)・体質改善・老化予防など日々を調子良く元気に過ごすための体調管理にも、 きわめて有効な養生法でもあるのです。